談山神社の大鳥居を過ぎ、しばらく長閑な道を進んでいくと、標識が。
山の上り坂のすぐ入口の所に聖林寺さんはありました。
聖林寺は、712年に談山妙楽寺(現談山神社)の別院として、藤原鎌足の子、定慧(じょうえ)が創建したことに由来します。
お城のような石垣の上にあり、更に階段を昇ります。
階段を昇り切ると目の前の視界が開けました。
わぁ~!!
大和盆地が見渡せます。
絶景かな絶景かな。
拝観料を納めお堂に入ると、まず目に飛び込んできたのは石でできた大きなお地蔵さまでした。
(聖林寺HPより)
え?ご本尊は十一面観音さんじゃないの?
十一面観音さんは後述しますが、江戸末期にこちらにやってきた仏さまでした。
こちらのお地蔵さまは、江戸中期の僧、文春によって造像されたもの。
文春の三人の姉が何度もお産で苦しんだことから、女人泰産を願ったのだとか。
色白の肌に紅を刺した唇に、女性らしさを感じます。
そのお地蔵さまのすぐ横に大きなお厨子があります。
昭和三十年代頃まで十一面観音さんはこちらにいらっしゃいました。
元々十一面観音さん(奈良時代作)は大神神社(三輪山)の神宮寺「大御輪寺」のご本尊でした。
幕末の廃仏毀釈から逃れるために、聖林寺に移され秘仏として大切に保管されていたところ、明治になり、アメリカ人哲学者、アーネスト・フェノロサ
によって見いだされ、人々が拝観できるようになりました。
フェノロサによって寄進されたのがこのお厨子です。
火災などの際には救い出しやすいよう、可動式になっています。
多くの人の尽力で守られてきた仏様なのですね。
ここからの眺めも素敵です。
十一面観音さんは本堂をでて、更に階段を昇ったところにある観音堂にいらっしゃいました。
大切な国宝を御守りするためには仕方ないのかもしれませんが、少し味気ない鉄筋コンクリート造りの収蔵庫のような観音堂。
でも、お堂に入り、観音さんと対面すると、ガラス越しですが、優しさに包み込まれるような感覚になりました。
仏身209.1cm、光背260.6cm、台座77.8cmのとても迫力ある仏さまです。
仏像彫刻としては、その優美さからミロのヴィーナスとも比較されることもあるのだとか。
(聖林寺HPより)
ボランティアスタッフの方と私と観音さんだけの空間。
どのくらいそこにいたかな・・・とても贅沢な時間でした。
*聖林寺*
奈良県桜井市下692
TEL 0744-43-0005
拝観時間
9:00 ~ 16:30(年中無休)
拝観料
大人(中学生以上) 400円
小学生 200円
団体(30人以上) 360円
11月の曼荼羅公開中のみ
大人(中学生以上) 500円
小学生 250円
団体(30人以上) 450円
涙が溢れた風景 山の辺の道
改良エコバック